君は 妖怪びたびた の姿を見たか？

スポーツジムで1ヶ月ほど前から、妖怪びたびた　が現れるようになった。

妖怪びたびたは、ロッカールームの奥のエリアの床をビタビタにして、知らずに踏み込んだ、アスリートたちの靴下をびたびたにしてしまうという、なんとも恐ろしい？やつである。

私も、この妖怪の餌食になってしまったことがある。

いつも妖怪びたびたは、姿を見せない。私がジムに来る頃には、すっかりその姿を隠してしまう。

その妖怪が最近いなくなってしまった。おかげで、ロッカールームの床は平常どおり、安心してアスリートたちが利用できるようになった。

安心したのもつかの間、またしても妖怪びたびたが現れたのだ。今度は、私がトレーニングから上がり、シャワーを浴び、やれやれ　という非常に気持ち良い状態で、ロッカーの奥に行った時だった。

そこは、妖怪びたびたが踏み荒らした状態である。しかも、その妖怪びたびたの場所で何も気にせず座ってスマホを触っている奴がいたのだ。（ちなみにロッカールーム内でのスマホは禁止になつています。）

普通の人間なら敬遠するところに、何くわぬ顔をして、座っている。疑っては悪いが、どうやら妖怪びたびたでのようである。とうとう妖怪びたびたの姿を見たのである。こいつだ、こいつに違いない。しかし、こいつも妖怪びたびたの被害者である可能性もある。うかつにお前が妖怪びたびただな　などと、言いがかりをつけようなら、逆ギレされてしまう可能性もある。

どうにもこうにもできない。ここはかかわらないほうが得策である。万が一、本物の妖怪びたびたであったら、こちらもびたびた攻撃にあってしまう可能性が高いからだ。そそくさと、着替えを済まし立ち去ることにした。

するとそこへ、短いタオル一枚を腰に巻いた、セクシー親父が登場した。床一面のビタビタ状態を見て唖然。しかし、タオルはしっかり腰にまとわりついている。そのまま、そそくさと、どこかへ行ったと思ったら、粗相した時の、緊急床拭きセットを持ち出してきたのだ。

セクシー親父は、妖怪びたびたとの戦いを挑むようである。セクシー親父は、床拭きセットを片手に妖怪びたびたらしき奴に近づきながら、床拭きセットを振り回している。

どうだ、床が乾いていくぞ。妖怪びたびため　覚悟しろ。セクシー親父強かった。

しかし、セクシー親父も妖怪ビタビタのところまでは行くことができない。躊躇しているのである。
自分のエリアを確保しただけで、セクシー親父は手を引いてしまった。

その後どうなったかは、ここでは言えない・・・・。