2015年12月1日火曜日

勘当息子でも、遺産を相続する権利は残っている

『ワシの土地は絶対渡さん』というCMが以前あったが、勘当息子には、びた一文やるか。と思っていても、実は法律ではそうならない。その息子がある請求をすれば、相続できるのである。

これは、遺留分請求という制度。もしこれがないと、例えば、夫が浮気相手にすべての財産を譲ってしまうと、残された妻や子は、家すら取れられてしまい、即路頭に迷うことになりかねません。そこで、正式な遺言を残したとしても、妻や子は、この遺留分請求制度を利用して、遺産の一部を手に入れることができるのです。ただし、法定相続による分割よりも少なくなってしまいますが・・・。

この遺留分請求制度があるため、たとえ勘当息子であっても、血のつながりがある以上は、わずかですが、相続させなければならないのです。血のつながりというのは、非常に濃いのです。例えそれが養子であっても、一般養子であれば、完全に血族として切れていないので、相続が発生します。(特別養子となると、完全に血族から切れてしまうので、相続権がなくなります)

どうしても、相続させたくない時はどうしたらよいのか。それには、血族から外すという手続きをすることで可能です。それは、相続人排除請求を裁判所に申し立てることなのです。

排除請求の申し立てが許可されると、完全に相続の権利がはく奪されます。
ただし、排除請求は、よほどのことがない限り、認められません。単に、不良息子だから、親子喧嘩をしたから、などという理由では通りません。

例えば、親に一方的に暴力や侮辱を繰り返していたといった状況でのみ認められます。 また、著しい非行 に関しては、借金や事件・事故などの問題を繰り返して経済的・精神的な被害・苦痛を与えたといった場合に認められます。単に犯罪を犯したという程度では認められません。

もちろん裁判で排除するには、双方の言い分を聞き判断することになります。また、裁判といってもそれほど大げさなものではなく、いわゆる離婚調停のような双方を踏まえての話し合いから始まります。

ちなみに、過去のデータでは・・・

排除と取り消しの件数は、
 ・家事調停(話し合い)の場合
     受理100件 既済80件 未済20件
     既済のうち14件(18%)調停成立 16件調停不成立 取り下げ42件 50件
  ・家事審判 乙類(調停で決裂審判まで行った)場合
     同様に 約18%しか 認められない 残りは却下または取り下げである
    受理281件 既済176件 未済105件
     既済のうち認容32件(18%) 却下82件(46%) 取り下げ57件 その他5件

このようによほどでない限り認められないのです。血族の繋がりは非常に強いのですね。




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